お客さんから電話があり「ガスの元栓に触ったらビリっときたので見てほしい」との依頼がありました。

 

都市ガスならば配管がアースされているのでどういうことだろうと思いつつ現場に出動。

分電盤の2次側の絶縁抵抗を調べるも異常なし。ガスの元栓とそばにあった水道の凍結防止栓の金属部分との電圧を測るとたしかに50Vぐらいでていました。分電盤のメインブレーカーを切ってみるも同様に電圧が測定できる状態でした。

この時点で分電盤の1次側、あるいは外部からの電気が回り込んでいるものと推測されます。次にアースを取るため外部に接地棒を打ち込み電線を接続し、本来のアースとの電圧を測定した結果、電圧があるのは水道管の方でした。水道管が電圧があるということは、それに接触しているシンクの金属部分も同様に対地電圧が出ていました。

水道工事業者に連絡したところ水道メーターと凍結防止栓の間は、地中をビニル配管しているとのこと、電気的には浮いている状態(アースされていない)だと推測されます。

あらためて外部を点検したところ、電気の引き込み線が屋根に近いように思えたので、脚立に登り点検をしました。すると鋼製屋根に電線が接触し焦げた跡が見つかりました。電線を固定し直し水道管の電圧を測定したところ改善されていました。おそらく先日の台風10号の風により引き込み線が接触にいたったものと思われます。

今回の事例は、長年電気工事に携わってきた中でも初めて経験することでした。当地区は瓦屋根の多い地域でもあり、引き込み線→鋼製屋根→宅内の何らかの導体→水道管が電気的につながっているとは、なかなか想像できませんでした。

引込線の固定がしっかりとされていなかったのは、少し前に屋根や破風の回収を行っった際、電気の専門業者ではない人が、施工したためと思われます。改修工事の際には電気部分については専門業者に任せていただきたいと思います。